はたらく双対性

Math Advent Calendar 2020 の19日目

(2020/12/19 00:08)


これは、りす.さんによる Math Advent Calendar 2020 の19日目の記事です。このような機会をつくってくださったりす.さんには感謝申し上げます。

昨日は炬燵氏による流体方程式による解の構成でした(のはずでしたがどうやら間に合わなかった様子)。明日はmath_neko氏が担当してくださります。お楽しみに!

Brownの表現定理は、三角圏上の反変関手が表現可能関手になるための必要十分条件を与える定理です。一般の三角圏では成り立ちませんが、コンパクト生成性という良い性質を持つような(余積が存在する)三角圏に対しては、Brownの表現定理が成立することが知られています。Brownの表現定理が成り立つと、三角圏に対する随伴関手定理の類似が成り立ったり、積が存在したりすることがわかります。現在では、より広く完璧生成な三角圏に対してBrownの表現定理が成り立つことが知られています。

補足

コンパクト生成三角圏は、コンパクト対象から成る”生成集合”をもつ三角圏のことです。以前「圏のgeneratorについて」というPDFを書いたのですが、これは通常の圏や加法圏に対する生成集合の話で、三角圏に対する生成集合はこれとは別な概念であることに注意してください。三角圏 $\mathcal{T}$ のコンパクト対象から成る集合は、加法圏としての生成集合であるならば三角圏のコンパクト生成集合になりますが、一般には逆は成り立ちません。”Compact generators in a triangulated category and how they relate to general generators - Math StackExchange” で反例が紹介されています。


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